材質のやわらかい杉は建材に使われることが多く、家具には不向きといわれていましたが、私の師匠が吉野杉で家具を作ってみたところ、今までにない美しい仕上がりのものが完成し、その可能性に惹かれて新たな工房を立ち上げました。
下市町は昔から林業・木工業が盛んな土地で、吉野杉や木工品に愛着を持たれている方が多く、こちらに移ってきた時も温かい声をかけていただき、町ぐるみで応援していただき、とても心強く意気に感じています。この工房を拠点に若い力が確かな技術をしっかりモノにし、また次の人材が入ってくる、そんないいサイクルができればと思います。
日本のものづくり、吉野下市の新しい魅力を発信することで、少しでも地域発展の力になりたいですね。
2014年12月、下市町阿知賀にあった旧水道事業所の倉庫を改装して誕生。吉野杉を使った鉋(かんな)仕上げの家具職人育成のための工房です。兵庫県三木市で家具工房を営む徳永順男さんが今日ではあまり使われなくなった鉋の魅力に惹かれ、その技術を使って新しいものを生み出し、発信しようとしたのが鉋仕上げの家具です。手触りがとてもなめらかで、年数がたつほど艶が出てきてきれいになっていくのが、その特長。徳永さんの下で修業を積んだ森さんを指導役に、約40名の応募者の中から選ばれた4人の研修生が一人前の職人をめざして、ここに住み込みながら、日夜、家具製作に励んでいます。
■場所/奈良県吉野郡下市町阿知賀61 TEL.0747-68-9118
■定休日/日曜日 ■営業時間/8:30~18:30
■アクセス/近鉄下市口駅から奈良交通バス 西迎院前下車、徒歩約15分